編集長のズボラ料理(801) ネギ・チリメン・トースト
ある時期から、朝ご飯にトーストを食べることが多くなった。米の値段が高くなったからではない。定年になって、自宅で朝食をとることになり、ご飯よりパンの方が簡単に感じるようになったからだ。
でも、本来はご飯を食べたい人間だ。旅行に行って泊まり、朝は和食か洋食かを選べる時は、和食を選ぶ。ご飯に魚の干物、ご飯に湯豆腐は安定感があるし、ご飯に焼き塩ザケなら言うことなし。サケがマスであっても許容範囲だし、焼きマスなのに焼きサケとメニューに書いてあったとしても、怒りはしない。
朝食がバイキングのことがある。その場合も和食系統のものを選ぶ。北海道釧路市のホテル「ラピスタ釧路川」に泊まった時は、何とイクラが山盛りにしてあった。ほかのメニューには目もくれず、ひたすらイクラ丼にして食べた。
しょうゆ着けのいくらなので、辛さもある。ホテル側は、それほど食べないだろうとのよみだろう。しかし、僕には通用しない。幼いころ仙台市に住んでいたので、イクラにほぐす前の筋子が好物になり、塩辛いのにガバガバ食べた経験がある。イクラ丼など、辛くも何ともないのだ。洋食の食べ物では、そんなことはまずない。
バイキングの場合、もう1つ食べるものがある。それはカレーライス。朝食にはふさわしくないと思うが、用意している宿が結構多い。なぜだろう。きっと僕のようなもの好きがいるからに違いない。最近ではカレーは代表的な日本料理になった感があるので、僕は和食に分類しているから、必食のルールをか自分勝手に設けている。
自宅の朝食でパンを食べる時は、食パンのトーストにする。これは洋食の部類になる。でも、和食への思いも残っている。そこで、しばしば和のテイストをトーストに加える。
例えば食パンにカレーとチーズを乗せ焼く。前述のように、カレーはもはや和食なので、堂々とした和テイストのトーストである。
柿のスライスを乗せ、バルサミコをかけて焼いたこともある。ワサビに練りウニもよかった。ウニは当然、安い瓶詰めではあるが。バターとノリの佃煮を市松模様にして、鬼滅トーストと名づけたこともあった。
さて今回。食パンにバターを塗る。細かく切ったネギで覆い、チリメンをふる。バージンオリーブオイルとしょうゆをかけて焼く。
ネギは和のハーブの代表格と思っている。さらにチリメンとしょうゆが和の味を高め、一方でオリーズオイルを使うから洋の要素もある。こんな和洋折衷トーストはない。それなのに、宿の朝ご飯やバイキングに採用されないのはなぜだろう。(梶川伸)2025.05.17
更新日時 2025/05/17