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編集長のズボラ料理(799) 焼き肉のリンゴワサビ味

酸っぱめリンゴを選んだほうがいい

 娘夫婦が時々遊びに來る。昼ご飯を目指して來るので、たいては前日までに予約が入る。すると、前日に食材を買い、午前中に食べ物を作る。これが一般的な流れである。
 変則もある。特に娘1人の時。気ままな性格だから、ピンポンを鳴らし、「どうも」と言って、突然登場する。僕はこれを、「襲撃」と呼んでいる。
 でも大丈夫。ちゃん備えはある。缶詰めのホールトマトと、カマンベールチーズが常に用意してある。それに生のトマト。これは朝食の際にほぼ毎日食べるので、だいたいは冷蔵庫にある。これだけあれば万全。
 娘はトマトが好きだから、楽なもんである。まず、トマトソースのパスタを作る。具は冷蔵庫の中のものを見つくろう。
 それに、カマンベールと生のトマトを切って皿に並べる。本来なら、モッツアァレラチーズにしたいところだが、賞味期間がそれほど長くないので、襲撃対策には適さない。カプレーゼというにはバジルが足りないので、要求があればバジルペーストを使う。娘は親の血を引いてグルメではないので、これで十分。ちょろいもんだ。
 予約と襲撃との中間が困る。朝ご飯のあとに連絡が入る。「今日2人で行くワ」。これは買い物に行ってから料理を作るには、時間的余裕がない。そのピンチを逃れるために、前回は焼き肉大会にした。これなら、肉さえ買えばいい。
 近くのスーパーに入っている精肉店で、ロース、カルビ、ハラミを買った。この店で買う時には、作法がある。焼き肉用の肉は合計800グラム以上を注文する。すると、店オリジナルのたれがサービスにつく。そこで、各300グラムを買った。
 たれはあるが、それだけでは、ズボラ料理の名がすたる。そこで思いついたのは、リンゴだった。おふくろはすりおろしたリンゴと大根おろしをポン酢に加え、それを焼き肉のたれにしていた。でも、おふくろの完全模倣では、ズボラ料理の名がすたる。少し変えて大人味にしてみた。
 リンゴをすりおろし、ワサビと混ぜる。これを焼き肉に乗せ、ポン酢につけて食べた。もちろん、店オリジナルの焼き肉のたれ、しょうゆ、ワサビだけも用意した。
 ワサビを使ったのは、娘婿が好きだからだった。リンゴワサビは順調な滑り出しだったが、よく観察していると、娘婿はワサビとしょうゆで食べる回数も多く、リンゴワサビ作戦は半成功に終わったようだった。(梶川伸)2025.05.06
 
 

更新日時 2025/05/06


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