編集長のズボラ料理(798) 白ネギの漬け物
定年後クッカーをやっていると、ふと思いつくことがある。でも、それは料理経験の乏しさによるもので、ちょっと料理をする人なら、「ふと」ではなく、当たり前の「よく」のこともある。
昼ご飯はあまり手をかけたくない。そこで、ご飯にレトルトカレーをかけて食べることがある。そんな時、ふと思いついた。ルーの上に、ふりかけをかけてはどうだろう。ちょうど、永谷園の「おとなふりかけ・わさび」が残っていた。かくて、ふりかけカレーは、ズボラ料理の堂々たる一品になった(789回)。
それからしばらくして、遍路仲間で一杯飲んだ。しょっちゅう集まっているから、さしたる話題はない。そこで僕は、ふりかけカレーの、ふとした思いつきを話題にした。
その時のメンバーは女性2人、僕を含めて男性2人。女性はベテラン主婦で、しかも1人は料理がうまいから、あまりにもズボラな料理には食いつきがない。その一方で、男性メンバーは身を乗り出してきた。
彼は香川県出身で、うどん大好き人間。昼ご飯は毎日のように、冷凍うどんをゆでて食べる。そのことは以前から知っていた。その彼が「最近はレトルトカレーをかけて食べる」と言ったのだ。続けた言葉は、びっくりスパイスがきいていた。
「ルーの上には、ふりかけをかける。かけるのは、おとなのふりかけに限る。4種類あるので、ローテーションを組んだ回す」
何と。ご飯とうどんの違いこそあるが、僕のレベルで言えば、彼が食べているのも、立派なズボラ料理ではないか。しかも、発想は同じ。さらに、4種類の味を楽しむのだから、僕より数段上の域にまで達している。僕にとっては「ふと」でも、彼にとっては当たり前の日常なのだ。
また、ふと思いついた。今度は白ネギ。スーパーで3本セットのお得用を買った。1本は鍋に、もう1本天ぷらにして食べた。最後の1本をどうするか。ふと思いついた。浅漬けの素に漬けてみよう。白ネギをぶつ切りにして漬けるだけ。ズボラの極致。
5日待って食べてみた。漬け物になっている。浅漬けなのに日数をかけたのは、ネギの苦みのようなものがどうなるか、不安を感じたからだ。結果は、少し酸っぱさを感じるが、これも大人の味と思えばいい。ふと、そう思った。
これも堂々たるズボラ料理に加えた。次に遍路仲間の集りがある時に、自慢してみよう。大した話題もない集まりだから。ただ、次は女性組の参加が増える予定で。もしかするとやっている人がいるかもしれない。ふと、不安がよぎる。(梶川伸)2025.05.01
更新日時 2025/05/01